会社を取り巻く環境の変化はますます激しくなり、市場での競争は、さらに厳しくなっています。しかし、そんな中でも過去最高の収益を確保して業績を伸ばしている会社もあります。優良会社は環境変化に対応するため、必死に生き残り策を追求して自社にあったビジネスモデルを作り上げています。各社の直面する問題解決策は、業種・業態の違いや内部資源のレベル等により千差万別です。ある会社の成功モデルをそのまま他社に適用しても業績は改善されません。また、自社が過去に実施した成功例を環境の変化した現在に適用しても良くならないのも当然です。
それでは失敗例はどうでしょうか? 失敗は間違いを犯したことに起因します。業績の低迷している会社は同じような間違いを繰り返します。改善だと思ってやったことが、実は改悪だったという会社のケースが多発しています。方向が間違っているため、いくら努力しても報われない状態に陥ります。それでは、間違いを直せば業績は良くなるのでしょうか? 必ず良くなります。間違いを直せば、これまで垂れ流していた儲け損ないを回避できるため、必ず儲けは増えるわけです。
多くの業績不振会社は共通した誤った流儀でビジネスを継続し、同じ問題を抱えています。儲かる会社に変革するためには、安易に成功事例を真似るのではなく、自社に内在している間違いを丹念に直すことが一番の近道になります。
そのためには、まず自社の間違いに気づくことです。何を間違えているかを社員全員が徹底議論して、共通認識する必要があります。様々な間違いは絡み合い、ねじれて存在します。深く組織に浸透して、社風として巣くっている間違いのケースもあります。それらを発見して解きほぐし、間違いを列挙して明確化することです。
将棋界始まって以来の七冠を達成した羽生善治氏にしても、将棋で勝ったケースのほとんどは相手のミスによる勝ちだと断言しています。会社の陥りやすい間違いの共通性に焦点を置いて、下記10の会社を潰す大きな間違いを取り上げ、多くの図表や具体的数字で解説いたします。
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変化し続け試行錯誤して自社を作り替えることの重要性は、近年ますます高まっております。他社と同じことをやっていては価格競争に陥るだけで儲けは出ません。他社と違うところに自社を位置づけることが必要です。
従来の考え方から抜け出せない多くの経営者から「一体どうしたら良いのか」との質問を頂きます。答えは一人で考えないということです。一人の経営者や単独の会社の力で出来ることは限られています。コラボレーションが大事なのです。一人で悩まずに、専門知識と経験を有する協力者を得て、一緒に考え悩み、共に行動することなのです。
社内に高い技術や優秀な人材さえ存在すれば会社はやっていける、との考えは誤りです。平成22年に債務超過で倒産した日本航空は、稲盛和夫氏の再建手腕により翌期には黒字に転換しました。三洋電機の子会社の三洋精密(現・日本電産セイミツ)は、3期連続の営業赤字でしたが、平成23年に日本電産に売却された後に一人の社員のリストラもなく黒字転換し、過去最高益に挑戦中です。両社とも社内に高い技術力と優秀な人材を擁していましたが間違えた経営を続けていました。間違えを直せば、短期間に業績は改善します。自社の間違えを社内で是正しようとする活動は、優良会社でも成功しません。元気のない経営者、負けが続いてやる気を失った経営者は、コラボレーションによる改革を決断することが第一です。
料理用いけすに飼っているアジをいつまでも活気の良い状態に保つためには、ハマチをアジの群れの中に放して置くと良いと言われます。アジは異質のハマチの存在に緊張して生き続けるからです。業績不振の会社は、アジだけで群れている“いけす”のようなものです。ハマチを受け入れる決断が出来ない経営者は、経営者として失格なのです。
頑張っても儲からない時代には、社内のプロセスをオープンにして何が問題なのか、何を修正すべきなのかについて外部の人材を入れて組織的に明らかにしていくことが求められます。異質で多様な人材と考え方を取り入れ、連携して活力ある会社に変身できます。